中学校の英語の教科書を数種類並べて分析し始めた途端、思わず「これはおもしろい!」と叫んでしまいました。文法・構文だけでなく、会話力を育成しようという教材開発者の意図が見えます。以前だと文法や構文を限られた語彙で教え込もうとして、不自然な英語表現が目立っていました。
しかし今の教科書には子供が興味を示しそうなトピックが数多く盛り込まれています。
例えば、ある出版社の中1の教科書では「千と千尋の神隠し」を、英語で “Spirited Away”と紹介しています。
これまでの常識では考えられないくらい難しい単語です。
また2年生の教科書には “That’s the spirit.”(その調子!)という表現も出てきます。一般の英会話教材でもなかなか出てきません。
会話の自然な流れを重視した結果でしょう。さらに英語を使った活動のためのtaskも用意してあり、英語のコミュニケーション能力がつきそうな感じがします。
ただ、中学英語教材の唯一の弱点は、ボリュームがないことです。
英語教育を重視する一部の私立中学校で使用している英語の教材 “Progress in English” と比較すると、分量は4分の1程度。本物の英語力を身につけるにはあまりにも薄っぺらな教材と言わざるを得ません。